最近、知人がゴルフに夢中になっています。
その人は、かつて打撃系格闘技の選手として活躍していた人物。
すでに現役を引退していますが、今はゴルフに大きな魅力を感じているようです。
最初は意外に思いました。格闘技とゴルフでは、運動の激しさも競技の性質も、ずいぶん違うからです。
ところが、よく考えてみると、両者には興味深い共通点があります。
脱力、身体の軸、下半身と上半身の連動、集中力、そして戦略性。
さらにゴルフには、年齢を重ねても技術や経験を生かして楽しめるという魅力があります。
今回は、格闘技との共通点を手がかりに、ゴルフが大人を夢中にさせる理由を考えてみましょう。
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格闘技とゴルフに共通する5つの身体操作
効率的に身体を使う――ここに格闘技とゴルフには共通する原理があります。
① 脱力|力を最大限に活かす技術
格闘技では、全身に力を入れ続けていても、効果的な打撃は出せません。
重要なのは必要のない緊張を可能な限り取り除き、適切な瞬間に一気に力を解放することです。
そして、ゴルフも同様なのです。
遠くへ飛ばそうと腕や肩に力を入れすぎると、スイングは乱れるし、思ったほどに力を伝えられません。
脱力とは、力を使わないことではありません。必要な力を、必要なときに使うための技術です。
これは、両者に共通する重要な原理でしょう。

② 身体の軸・バランス
格闘技で重要なこととして、身体のバランスも挙げられるでしょう。
バランスを崩してしまえば、攻撃も防御も難しくなります。
格闘技の試合で重要なのは、相手のバランスを崩すことともいえるポイントです。
ゴルフでも、姿勢だけでなくスイング中の身体の回転を安定させることは、大切です。
これが、”軸”を作ることに繋がります。
身体の軸に関しては諸説あり、また個人的な感覚の問題ともいえるため、これといったエビデンスのある正解がありません。
したがって、言及はここまでにしますが、いったん軸の感覚がつかめると、一気に上達が早まるのもたしかでしょう。
軸という感覚が、動きの中でのバランス保持や、適切な重心の移動に役立つことが大切で、軸を意識するあまり、身体が固着してしまうことではありません。
③ 下半身主導で全身に力を伝える
格闘技の打撃がなぜ効くのかというと、「手打ち」ではないからです。
つまり、腕や上半身だけに頼ったものではなく、地面を踏み込む力や下半身全体の動きに重心が乗った力を、適切なフォームで上半身に効果的に伝達させるために、効率的な打撃が生み出されるのです。
そして、同じことがゴルフにいえるのです。
ゴルフのスイングを適切かつ的確なものにするには、下半身から発した力を、全身を協調させて連動させ、ツールからボールに集約させなくてはいけません。
この身体操作の合理性の高さは、格闘技や武道の経験者には興味深いものではないでしょうか。
④ 集中力
試合全般に対する集中だけでなく、相手の動き、自分の状態、瞬時の判断などへの集中。
――集中力がなければ格闘技は成立しません。
この集中力を養うのにも、ゴルフはきわめて有効なのです(しかも、痛くありません)。
自分のフォームを絶えず確認する集中力から、目の前の一打への集中、ほかにも自分の立つ場によって、さまざまな集中力が要求されるのがゴルフでしょう。
格闘技以上に、集中力に特化されていく側面があるともいえます。
上達するには、集中力の高まりを身につけなくてはならず、そこで心や体の緊張を抜いていくことも学べます。
状況把握、雑念を減らしていく工夫、自分の動作は状態への集中などを、比較的開放的な空間で、自分のペースで学べる、など良い条件が揃っている点で、ゴルフは非常に有効なのです。

発見するために辿るべきプロセスならある第18章
⑤ 身体と精神のコントロール
焦りや怒りなどの感情の乱れによって身体の動きも乱れることは、どちらの競技にもあります。
特に、ミスをした直後の気持ちの切り替えが上手くなくてはいけません。
ゴルフでも、ミスを引きずらず、前の一打にとらわれず、次の一打に集中する。
そこには、身体だけでなく、自分の感情を扱う技術も求められます。
こうした文章にすると難しく、”精神的”な気配が濃厚なことを、楽しみながら身に着けられるのは、ゴルフです。

ゴルフは力ではなく、戦略で勝負する
打ちっぱなしなどで、遠くへ飛ばすのも気持ちが良いかもしれません。
しかしゴルフの魅力は、ボールを遠くへ飛ばすことだけではありません。
例えば……、
目の前に池があるとします。
- 池を越えるショットに挑戦するか
- 安全な場所へボールを運ぶか。
その判断も、自分の技術、残りの距離、風、地形などによって絶えず変わります。
つまり、ゴルフは身体を使って行う戦略ゲームでもあるのです。
格闘技でも戦略は欠かせません。
ゴルフでも格闘技でも、戦略がなければ、ほとんどのことが無謀な勝負になってしまいます。
計算されたチャレンジにするために、戦略を組み立てる必要があります。
そこを突き詰めていくと、自己認識につながり、謙虚さも生まれ、状況に応じた判断や柔軟性も生まれてくる。
――大人がゴルフに夢中になる理由には、このような知的な面白さがあるからではないでしょうか。
40代・50代からでもゴルフが面白くなる理由
年齢を重ねると、筋力や瞬発力、回復力などは少しずつ変化していきます。
かつてのように激しい運動を続けることが難しくなる人もいるでしょう。
しかし、ゴルフには身体能力だけでは決まらない要素が数多くあります。
距離感、コースの読み、クラブの選択などだけでなく、精神的な落ち着きや調整の仕方、さらに経験に基づく判断力など。
身体的な能力は加齢とともに衰える要素が無数にありますが、技術や戦略を磨けば、自分なりの上達は見込めるのです。
若い人のような飛距離が出せなくても、ショットの正確性を高めたり、コース戦略を巧妙にする……じつに楽しみ方が多彩で奥深いものがあります。
若さや全盛期の華を競うのではなく、今の自分に合った技術を磨いていく。
そこには、年齢を重ねたからこそ味わえる楽しさがあるように思います。

ゴルフがもたらす解放感と精神的な充実
ゴルフには、もうひとつ大きな魅力があります。
それは、屋外の広々とした空間で身体を動かすことです。
緑に囲まれたコースを歩き、風を感じながらプレーする。
日常生活とは異なる環境に身を置くことで、気分転換になる人も多いでしょう。
また、ゴルフでは一打一打に小さな目標があります。
狙った場所へボールを運べた。以前よりも安定したショットが打てた。難しいコースを攻略できた。
こうした達成感を積み重ねられることも、魅力のひとつです。
しかも、ゴルフには格闘技のような直接的な身体接触がありません。
もちろん、腰や肩、肘などを痛める可能性はありますし、長時間の歩行や暑さへの対策もしなければなりません。
それでも、自分の体力に合わせて練習量やプレースタイルを調整しながら、競技の緊張感を楽しめるのは魅力です。

ビギナーこそ、スクールで基本を学ぼう
ここまで読んで、ゴルフを始めてみたいと思った方もいるかもしれません。
そんな方におすすめしたいのが、最初に基本的な身体の使い方を学ぶことです。
一見、単純な動作に見えるゴルフのスイング。
しかし実際には、姿勢、身体の回転、腕の動き、力の入れ方など、さまざまな要素が絡み合って成立しています。
はじめに自己流の練習を続けてしまうと、無駄な力みや無理な動きが癖になって定着してしまいます。
最初についた悪い癖は、上達の邪魔になるだけでなく、矯正するのに手間がかかってしまいます。
最短でゴルフの楽しさを味わえるようになるには、ビギナー向けのゴルフスクールを視野に入れた方が”お得”です。
また、スクールを選ぶ際には、次のような点を確認するとよいでしょう。
- 初心者にも基本から丁寧に指導してくれるか
- 年齢や体力に合わせたレッスンを受けられるか
- 飛距離だけでなく、姿勢や身体の使い方も教えてくれるか
- 体験レッスンで指導方法や雰囲気を確かめられるか
- 無理なく継続できる料金や通いやすさか

ゴルフは年齢とともに新しい楽しさを発見できるスポーツ
格闘技とゴルフには、多くの共通点があります。
そして、ゴルフの魅力は、単にスコアを競うことだけではありません。
身体を合理的に使うこと。
状況を読み、戦略を立てること。
失敗を受け止め、次の一打に集中すること。
そこに、スポーツの本質的な楽しさが凝縮されているように思います。
年齢を重ねることで、スポーツの楽しさを放棄してしまうのは残念なことです。
若いころのような激しいスポーツが不可能になったとしても、競技を変更すれば、また新たな楽しみも見いだせるのではないでしょうか。
むしろ、若い頃とは異なる技術や判断力を身につける楽しみが生まれたり、
あるいは人生経験で培ってきた何かが、生かされることも出てくるでしょう。
そして、年を取ってからも長く楽しめるスポーツとして、ゴルフは外せません。
ゴルフは、年齢とともに変わる自分の身体や心を、新しい楽しさへとつなげてくれるスポーツなのかもしれません。
それこそが、かつて格闘技に打ち込んだ人までも夢中にさせる理由のひとつなのではないでしょうか。


