「角栓崩壊」「毛穴汚れを根本から一掃」——。
最近、洗顔料やクレンジングでこういう鮮烈なワードが増えているようです。
思わず手を伸ばしたくなる表現です。
しかし、”角栓崩壊”と銘打った製品の全部が、同じ技術や内容を持つわけではありません。
つまり、角栓への「働きかけ方」がアイテムによって違ってきます。
今回は、花王・ビオレの「角栓崩壊洗浄技術」と、CHPT.9(チャプトナイン)の「ポアクリアセラム」を比較し、その真相を追うことにします。
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そもそも角栓は何で出来ているの?
じつに角栓は皮脂のカタマリではありません。
花王の研究によると――、
角栓は毛穴の中ではがれた角層と皮脂が幾重にも重なった、年輪のような構造をしています。
つまり固まりやすい皮脂が糊のような役目をして、角層同士を接着している、というもの。

なかなか面倒くさい構造なので、ふつうのオイルで皮脂だけを溶かしても、角栓全体が簡単に取れるとは限らないのです。
だからといって角質だけを狙っても、固まった皮脂が残っていると角栓は崩れにくい状態をキープしてしまいます。
そのため、角栓ケアのキーポイントは、
脂質と角層の両方をどうゆるめるか。
――ここにあるのです。

花王の”角栓崩壊”はトロメタミンで「内側からほぐす」
2017年に花王が”角栓崩壊洗浄技術”を開発しました。
トロメタミンを用いるものです。
そもそもトロメタミンとは、従来から化粧品のpH調整剤などに使われてきた弱いアルカリ性の成分。
これを特定条件下で角栓に作用させると、角栓の剥離各層がゆるみ、固体状の皮脂が水になじみやすくなる――花王の技術がこれを達成したのです。
するとどうなるのでしょう?
角栓は外から削られれるのではなく、内側から自然にほぐれていくようになるのです(!)。
まさに”角栓崩壊”です。
……とはいえ、トロメタミンを配合すれば何でもこの結果が出るわけではありません。
濃度、pH、ほかの成分との組み合わせなど、花王の独自処方があってこそ成立する技術です。
この技術の結晶が”ビオレ おうちdeエステ ジェル洗顔”や
”ビオレ ザフェイス 泡洗顔料 スムースクリア”などです(2026年時点)。
さらに2026年発売の”ビオレ おうちdeエステ ディープクレイ洗顔”では、進化ヴァージョンの”角栓崩壊ブースト洗浄技術”へ。
これは、
- トロメタミンで角栓をほぐす
- ほぐした角栓をカオリン、コーンスターチ、セルロースからなる親水性ミクロパウダーが吸着・分散
- 毛穴の外に排出しやすくなるため”隠れ角栓”にも洗浄成分が届く
以上のような仕組みになっています。
※この技術は毛穴そのものの消去や角栓の再発を永久に防ぐものではありません。
CHPT.9はオイルと酸を組み合わせた
同じく”角栓崩壊”掲げるものに、株式会社スマートコスメのブランドCHPT.9が販売する”ポアクリアセラム”があります。
しかし、このアイテムは洗い流すタイプのオイル美容液で、花王とは仕組みが異なります。
まず、角栓クリアのために、次の4種類の成分を配合しています。
- パルミチン酸エチルヘキシル
- ジカプリン酸ポリグリセリル-6
- ジカプリリエーテル
- ジオレイン酸ポリグリセリル-10
成り立ちとしては、
油性成分を角栓の皮脂や酸化皮脂になじませ、乳化成分によって水で洗い流しやすくする、というもの。
それだけではなく、さらにグリコール酸で古い角質に働きかけ、油になじみやすいサリチル酸も配合しています。
これで、複数方向から皮脂、角栓、毛穴周辺のザラつきがケアできる、という仕組み。
つまり、CHPT.9の基本的な考え方は、
「皮脂になじませる+古い角質をやわらげる+乳化して洗い流す」
というものです。
処方には合理性があるし、「角栓をむりやり引き抜く」ような強引なものではありません。
ただ、公式でも”角栓崩壊”を”角栓汚れを洗浄すること”と注釈をつけていますが、花王の”角栓崩壊”とは別物、と考えて良いでしょう。

同じ”角栓崩壊”でも技術は
両者の違いを簡単に整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | 花王・ビオレ | CHPT.9 |
| 中心となる成分 | トロメタミン | 油性成分・乳化剤 |
| 角栓への働き | 角層と固体脂を内側からほぐす | 皮脂になじんで洗い流しやすくする |
| 角質ケア | 独自の角栓崩壊洗浄技術 | グリコール酸・サリチル酸 |
| 商品の種類 | 洗顔料 | オイル美容液・クレンジング |
| 技術情報 | 作用機序や評価試験を公開 | 配合成分と商品説明が中心 |
| 主な使い方 | 濡れた肌になじませて洗顔 | 乾いた肌に約1分なじませて乳化 |
日々の洗顔か、集中的オイルケアか
花王とCHPT.9,どちらが上、という話にはなりません。
まず、毎日の毎日の洗顔で摩擦を抑えながら角栓をケアしたい――
そ人は、花王の洗顔料がおすすめになります。

技術の成り立ちや評価方法が詳しく公開されているから、
安心できますね。
CHPT.9が向いているのは、
- メイク落とし(顔全体)
- 鼻、顎だけの集中ケア
- ほか、オイルクレンジングと角質ケアをいっぺんにやりたい人
そういう人にとっては、便利です。
CHPT.9は敏感肌には……?
CHPT.9にはグリコール酸とサリチル酸が配合されています。敏感肌の人や赤みが出ているとき、あるいはレチノール、スクラブ、拭き取り化粧水との併用には、慎重さが必要になります。
強い言葉より、処方の中身を見よう
角栓が皮脂と角質から作られる以上、根絶することはできないでしょう。
肌の状態によって形成されてしまいます。
”角栓崩壊”というと、どうしても「角栓とは永久にさよならできる」感を抱いてしまいがちです。
でも、現実問題として、一度で根絶はできないのだから、自分に合ったやり方とアイテムで対処するほかありません。
花王は、角栓の構造を内側からほぐす独自の洗浄技術。
CHPT.9は、オイル・乳化剤・ピーリング成分によって角栓を落としやすくする処方。
広告の言葉ではなく、「自分が求めているケア」と「自分の肌に合ったアイテム」のほうを重視しましょう。
角栓ケアは肌をいたわりつつ、少しずつ詰まりにくい状態へと整えるもの。
一見、遠回りに見えるけれど実はショートカットなのが、そこです。





