”推し”に夢中になればなるほど、現実の恋愛ができるのか、不安になる……
あなただけでなく、周囲の人もそんな風に感じて、ひそかに悩んでいたりします。
元気や活力を与えてくれる”推し活”。
楽しい文化ですが、「それって依存」とか「単なる現実逃避」といった、心無い声で凹むことも……
――結論から言うと、推し活=依存ではありません。
……ただ、やり方を誤ってしまうと、ときには危険な状態に陥ってしまいます。
この記事では、なぜそうなのか、を心理学や脳科学の視点から解説します。
最後まで読んだときには、”正しい推し活”が理解できるでしょう。
*この記事は広告を掲載します。また当ブログはAmazonアソシエイトです。
推し活で元気になれる理由
推しの新曲やライブ予定が出ると、急に気分がパッと明るくなったりします。
この感覚の”主役”は脳内の神経伝達物質ドーパミン。
幸福ホルモン、快楽物質、と呼ばれているものです。
とはいえドーパミンの真相は、ただただ幸福感を生み出すだけの危ないドラッグのようなものではありません。
小難しい言葉を使うと「報酬への期待や意欲・何かを求めて行動する力と深く関係している」。
つまり、「きっと良い事あるよ、とワクワクさせてくれて、それじゃあ行ってみようか」という気分にさせてくれる――ホルモンなのです。
推し活の場合だと、たとえばライブの当落を待つ、SNSの更新を確認する、次の作品を楽しみにする……
そんなときは、ハラハラ感は多少あっても、だいたいワクワクしたポジティブな気分でいられませんか。
そして、その気分に乗って”次の行動”が出しやすくはないでしょうか?
つまり、推し活⇒ドーパミンという流れは、
「ライブまで仕事を頑張ろう」「推しに会うまでに美容や健康を整えよう」といった、生活全体に前向きな変化につなげることができるのです。

……つなげる、というか、すでにのめりこんで前向きになってるな……。
推し活は自律神経を整えるか?

推し活をすると、副交感神経が優位になるため、
自律神経が整います。
……この説明は、じつは”難あり”です。
そこまで物事は単純ではありません。
少しイメージしてみましょう。
- ――ライブ会場にいたり、チケットの当選待ちをしているとき⇒⇒たいていドキドキして緊張します
- ⇒⇒交感神経優位
- ――家でゆっくり大好きな曲に浸ったり、映像をゆったりと観ている⇒⇒リラックス、安らぎ
- ⇒⇒副交感神経優位
つまり、推し活には、ハラハラドキドキとリラックスの2つの側面があります。
時にはファン同士で競争、炎上、チケット争奪戦など、強烈なストレスにさらされることもあるでしょう。
結局、「何を推しているのか」「どのような推し方をしているのか」で、変わってくるので、推し活が心身の健康に良いとは一概には言えないわけです。

推し活は”一方的な恋愛”か
心理学の概念に、”パラソーシャル関係”というのものがあります。
一般に、メディア上の人物やキャラクターに親しみや愛着を感じることを指します。
たとえば、あるアーチストの作品に長年触れていると、そのアーチストとは直接の知り合いではないのに、その人をとても身近に感じてしまうことがあります。
――これをパラソーシャル関係と呼び、誰しも持ちうる心理状態なのです。つまり、特別におかしな話ではありません。
アメリカ心理学会の解説によれば、「パラソーシャル関係には肯定的な働きがある」としています。
……たとえば、孤独感が和らぐ。あるいは、憧れの存在を通して理想の自分に思いを馳せることができる。
または、ファン同士の交流ができたり。
とはいえ、推しとの関係は、「ここまで」なのはたしか。
一方通行の思いであることは避けられません。
現実の恋愛においては、相手の”良いところ”だけを”好きなときに”だけ見ることが許されません。
相手の気持ちや立場、都合、さらには欠点をつぶさに見て、受けのです。入れることができなければ、関係が成立しないのです。
話し合いや譲り合いを重ねて行く難しさをどう受け止めて行くか――
心の成長・成熟の痛みともいえるでしょう。
――現実のお相手に、過剰な完成度を求めてしまうと、失敗してしまいます。

そういう”痛み”なら歓迎する!
推し活が”依存症”になるとき
推し活が依存症になっているかどうか、の判断基準はズバリ、
その推しが好きであることで生活が壊れていないか――??
そこ、になります。
というのも、推し活そのものは別に医学的に依存症とされているわけではなく、推し活に費やした時間やお金の額で依存症と決めつけることもできないからです。
ただWHOの解説による「行動上の依存」の判断基準は、
- コントロールの低下
- ほかの生活より優先すること
- 悪影響があっても続けること
以上の3点が重視されているのです。
これを踏まえると、次のような変化が見られたら要注意でしょう。
- 自分で時間や課金額を調整できない
- 仕事、学業、睡眠、家族関係に支障が出ている
- 生活費を削ってまでグッズやチケットを購入する
- 推し活以外の友人や趣味がほとんどなくなる
- 苦しさが増しているのに、追うことをやめられない

推し活と恋愛を共存させられる人のタイプ
端的には、
推しと恋人に同じ役割を求めない人。
――推しからは憧れや刺激を受け取り、現実の恋人とは会話や信頼を積み重ねる。それぞれ別の関係として考えられるタイプの人です。

割り切り重視!!
このタイプの人は、”複数の居場所”を作れる傾向があります。
推し活だけでなく、仕事・友人・家族・趣味などで立ち位置があるため、
推しからもらった元気を、美容や運動、勉強、外出など、現実の行動に変えられることも特徴です。
推しの存在が現実社会を生きるエネルギーになっているタイプの人です。
推し活するときに気をつけなくてはいけないタイプ
傷つかない関係だけを求めてしまうタイプの人です。
このタイプが推し活にのめり込むと、現実の恋愛から遠ざかる傾向があります。
とてもデリケートで、過去に失恋や人間関係で大きな痛手を受けた経験がある人には、推しの存在はとても安心なものです。
これは別に悪いことではありません。
推しが心を守る避難所になってくれているのです。
ただ、この状態がいつまでも続いてしまうと、実際の恋愛とは縁が遠ざかってしまいます。
また、推しに見る理想の姿を現実の人物と比較してしまうと、出会いの幅が極端に狭くなることは避けられません。
――このような傾向を持つ人の心理には、「現実で傷つくことへの不安・恐怖」があることが多いです。

推しと現実の恋愛、両方を愉しむには

恋のために推し活を卒業しないとダメなのかな……
いえいえ、その必要はありません。
ここはただ、”役割分担”に限ります。
夢と希望を与えてくれる推し。
一緒に現実作りをしてくれる恋人。
この両者の役割をはっきりとつけておいて、絶対に役割を混同させない――そこに尽きます。
もうひとつ大事なのは、依存的になることの防止。これはまだ具体的なお相手と出会っていない場合に重要です。
それには、スケジュールに推し活以外の予定を意識的に組み込む。
誰かと食事をする、新しい場所へ出かける、趣味の集いに参加してみるetc.
そうして、人と接する機会を意識的に増やしていけば、推しだけにのめり込むこともなく、出会いのきっかけが作りやすくなるのです。
ほか、依存が怖い人は、
推しに費やす時間・お金の上限を決めておきましょう。
これは推しへの愛を抑えるのではなく、安心して長く応援するための仕組み作りです。
そして、推しから受け取ったものを、自分の人生へ戻してみてください。
「推しのように新しいことへ挑戦したい」「次に会う日まで元気に過ごしたい」。
そんな気持ちが自分を動かす力になれば、推し活は現実逃避ではありません。
自己効力感・肯定感を育ててくれる活動です。

推しを好きな自分も、現実を生きる自分も大切
健全な推し活かどうか――それは愛情の強さとはほとんど関係ありません。
推しを好きでいることで、自分の毎日まで好きになれているか。
それとも、現実の自分を忘れるために、推しだけを見続けているのか。
――この違いに、ときどき目を向ければ事足ります。
推しを愛する気持ちと、現実の誰かを愛する気持ちは、競い合うものではありません。
推しで少し現実世界を離脱してみて、力を得てから人生に戻る。
「好き」を大切にしながら、自分を育てて行けると、とても素敵な日々になるのではないでしょうか。



