昔の話~昭和だろう。
たぶん、ですが平成年間あたりまで、吉祥寺には面白い中古レコード屋さんが何軒かありました。
オールディーズの珍しいレコード(1950年代のもの、とか)が置いてあるお店とか、ありました。
そこで私は、バディ・ホリーの1stアルバムをゲットしたことが…(手放しているな、きっと…)。
私は、思春期にいろんな人間関係から、はぐれてしまう経験をして、切なかったりするので、中古レコード屋とかに逃避することも多くありました。
下北沢とかにも、面白いお店があったのですが、今回は吉祥寺南口にあったお店での出来事を。

村八分の二枚組が…それから、とある少女と出会った。
別に、驚くような話でもありません。
そのお店は雑居ビルの二階にあって、広くはありませんでした。
たしか、邦楽のレア盤が充実していて、値段はちょっと高め。
「目の玉が飛び出る」ような価格ではないものの、高校生が買うには、逡巡せざるを得ない価格帯で、さまざまな珍品が置いてありました。
ネットもなく、情報も少ない当時、特に邦楽の珍しいものとなると、追求が厳しいものがありましたね…
その手の雑誌とかも、あるにはあったけれど、病んで心が弱っていた自分ですら、深入りを避けたい「何か」を漂わせているから、回避していたように思えます。
今ではヴィジュアル系バンドのムックみたいになっている「フールズ・メイト」は、往時から存在していたものの、特集されているのは灰野敬二だったり、ノヴェラだったりした覚えがあります。
ホンノマジカナハル×灰野敬二 / HONNNOMAJIKA〜NAHARU × KEIJI HAINO [CD]
さて、吉祥寺のお店に話を戻します。
私がそこで目をつけていた物件というのが、ほかでもない、村八分の二枚組でした。
当時、村八分というのが、いったいどのようなバンドなのか、見当がつかなかったし、ジャケットを見る限り、セミアコ弾いてる人がいて、フロントマンがちょっと、なにか怪しげなものを吸ってしまったかのような感じで、ぼんやりと写っており、照明の感じとかで、「プログレなのか??」などと、思ったり…
ライブ<2022 Digitally Remastered> [ 村八分 ]
…そのお店は、視聴も許可してくれるのですが、村八分が置いてあった当時、ちょっと店員さんが「恐げ」に見えたうえ、自分が病んでいたので、ためらわれたのです。
…村八分がまさかの、Rストーンズみたいなロックサウンドを展開するバンドだと知ったのは、ずいぶん後のこと……
たしか、そのお店での価格が、一万円だったかな…??
ちょっと、な。
ほかにも、棚には、中山ラビ、とか、あがた森魚、とかいう訳のわからない名前(に思えた)の、サウンドも想像できない(ロックではなかったのは間違いない)アーティストのアルバムだとか、ロックバンドにしても、今、やる人がほぼいないサザンロック系統のバンドの作品とか、珍しいものがありました。
あがた森魚 / オリオンの森 [CD]
で、そういうレコードの回転率が、悪くないんです。
つまり、おさえておかないと、誰かが買ってしまう…まあ、それで欲しいけれど金はない、で、窃盗に走る奴が後を絶たないため、店員さんの目つきがヤバイ感じになるわけでしょうね。
ラビ[CD] / 中山ラビ
☆
ある日、またぞろ村八分のジャケットを「検討」しに行くと、予想はしておりましたが、既に、不在となっておりました。
かすかな落胆があったものの、それよりも、棚を隔てて、レコードを漁っている少女に目を奪われました。
忙しそうに、レコードを手繰っている、同い年くらいの彼女が、ぜんぜんレコードのことなど気にしていないのは、明らかでした。
というのも、顔を真っ赤にして、水鼻をすすり、両目からは涙のしずくがぽろぽろぽろぽろ、とめどもなく流れ落ちます。
時折、それを拭いながら、嗚咽をこらえてレコード漁りをしているフリをしています。
学校でひどい目を見たのかな(ぼくと同じように)? 家に帰るのがイヤなのかな(ぼくと同じように)?? あ、そうじゃなくて、失恋か(これは、うらやましいかもしれない)…
……などと、想像が頭を駆け巡り、ついつい、かすかな親近感を感じた。
………それだけの話です。
思春期の出来事は、強烈に記憶に刻み込まれることがありますね。
